「宇宙戦艦ヤマト2199」_大団円!

9月29日、宇宙戦艦ヤマト2199の最終話が放送された。
「宇宙戦艦ヤマト」1作目TVシリーズのリメイクであり、オリジナル版は1974年に放送され、
当時小学生だった私達はたちまち夢中になった。男の子は多かれ少なかれドンパチが好きなのだ。
ただずいぶん後になってわかったことなのだが当時の視聴率は芳しくなく全26話にて打ち切りとなった。(その後再放送で俄然注目度があがっていくのだが、続くTVシリーズの2作目以降については私個人は好きでは無い)

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 今はDVDレンタル当時のヤマトを改めて見直すことが出来るのだけれど、昔のアニメだから仕方の無いことと思えるくらいに画のクオリティは低く、特にヤマトのシルエットやキャラクタの画質もひどいものが目立つ。

 それでもそのSFの魅力に男の子は引きつけられた。
戦時中に沈没した戦艦が宇宙船として蘇り、地球の危機を救うというスートーリー。
超光速航法、超兵器(波動砲)、コスモゼロの戦闘機の活躍には心躍らされたものだ。
 なにより、戦いに敗れてしまった沈没戦艦が復活し、廃墟と化した地球を復活させるために旅立つというシチュエーションがいい。

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 今回のリメイクがより面白いのは、地球人側だけでなく敵対するガミラス人側の動向もしっかり描かれているところ。これは単なる善悪の対決ではなく、「ガンダム」以降のアニメに見られる各々人間同士の戦い、善悪は相対的なものという考えをベースにし,人と人とはわかりあえることをテーマとしているからだろう。
(これはオリジナル版で、ガミラスとの最終決戦でいささか唐突に出てくるのだけれど)

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 リメイク2199はオリジナルのストーリーをほぼ忠実になぞりながらもガミラス側のいくつものエピソードが挿まれていてそれがその世界観を重厚なものとしている。
 地球という僻地の攻略の任に当たっている”二等ガミラス人”のシュルツは度々愛娘からのビデオレターを再生したり、無能な上官を出し抜くような自己顕示欲をみせたりする。

 宇宙の狼と呼ばれる名将ドメルも、ガミラス内の政治的計略に陥れられたりするのだが、
一方で長い間すれ違いのあった妻とのエピソードがあり、そのシーンにはつい魅入られてしまう。(セリフがほとんど無い、息子の墓前でのシーン)
 
密かにデスラーへの想いを秘めた”ジレルの魔女”。
そしてデスラーも又イスカンダルのスターシャへの愛を秘めている。(デスラー、スターシャ両者の謁見の間に同じ絵画が飾られているのだけれど、それは女神と戦士を描かれたもので、暗にこの二人を示している。これはEDテーマでもわかる)

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 男女間の愛だけではない、それは異星人同士、敵対するもの同士の友情も同じく。
それは戦争で兄を失った山本玲と、ガミラスのパイロット・メルダとの出会いと友情のストーリーや、奇しくもガミラス軍に拾われクルーとなる地球人のエピソードが小さな驚きと共に挿入され、そして人間だけでなく、ロボット同士(ガミロイド兵とアナライザー)にも・・・・
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 そしてもう一つ、テクノロジとは何か?どう向きあうか_?というテーマもストーリーと共に進んでいき、視聴している私たちにも考えさせられる。
 ガミラスによって赤茶けた地獄のような星になった地球。そして遙か彼方の希望の星イスカンダルへ波動エネルギーという未知の力をもち旅立つ宇宙戦艦ヤマトと乗組員。
未知のハイテクノロジは必ずしも安定せず時としてヤマトを危機に陥れのだが、その力はガミラスの包囲を突破する力でもある。その力はガミラスでさえ完全に制御しているとは言えず、デスラーの私欲は自身をも破滅に導く。

 ハイテクノロジは希望の光でもり、メギドの火でもある、諸刃の剣でもあるのだ。
それを悪しき方向へ利用しようとするのがガミラスなら、正しい方向に導こうというのがイスカンダル。
だがそのイスカンダルでさえかつては波動エネルギーを持って星間国家の支配をもくろんでいたという設定は如何に”力”を制御することが難しいのかを物語っている。

 劇中波動エンジンを波動砲に転用してしまったことに疑問を呈するスターシャやユリーシャ二人のイスカンダル人に対し、波動砲を持ってガミラスの首都の危機を回避することに成功させたエピソードは興味深い。
オリジナルでは、ここはガミラスのウィークポイントである活火山を波動砲にて反撃の一歩としているからだ。
この時点からオリジナルと異なりガミラスは新体制を構築していく。

 テクノロジの進歩は諸刃の剣、未知なるハイテクノロジに翻弄される人類はどういう選択をすべきか?
ヤマトの大宇宙への航海というストーリーを通してそれを私たちに提示する。

 最終話の真田のセリフ「充分に発達した科学は魔法と見分けがつかない」は象徴的で、最終話の奇蹟はその答えを表している。
 冷たくなった森雪を抱きしめて「君のいない地球に意味があるのか」という古代の叫びは、古代進だけのものではない、愛する人をもつすべての人の想いなのだ。

 止めどなく進歩していくテクノロジを捨て去ったり止めることは出来ない。
それよりもそれは、人の想い、愛情に満ちた想いを実現させる一つの力になり得ると信じることなのだ_と。


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TVシリーズはエンディングに流れるJUJUの「distance」が感極まってしまうくらいにいい曲です。

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