「偽義経冥界歌」

 10月24日109シネマズ佐賀にて「偽義経冥界歌」(にせよしつねめいかいにうたう)を観ました。劇団新感線の舞台をを映画館で体験できるゲキxシネです。
 (2020年4月には福岡の博多座での公演がコロナ禍で中止となっていますので劇場での公開は待ち遠しいものでした)
 出演、生田斗真、藤原さくら、中村優馬、早乙女友貴、橋本さとし、新感線のメンバー。


 平安末期の源平合戦とその後の義経の奥州逃避行を新感線独特の演出で息も尽かせぬ怒濤の展開をみせる舞台です。
史実と大きく異なるのは”奥州藤原氏”ではなく”奥華氏”、”平泉”ではく”奥泉”。そして牛若丸(後の義経)とは別人の”玄久郎”が”偽義経”として登場します。
 ちょっとびっくりするのは、”ハムレット?”と連想してしまう展開になることです。そしてなんと前半のラストで(上映時間約3時間ですが途中15分の休憩があります)、主人公が死んでしまいます。(え?主人公が?)



 ストーリーは。
 鞍馬寺に預けられていた遮那王牛若(後の義経)は、武蔵坊弁慶等の手引きにより奥州の有力者である奥華氏の元に向かう途中、その粗暴さが禍し奥華氏の嫡男、玄久郎により不慮の死を遂げてしまいます。
 源氏と奥華との結束を考えていた奥華当主の秀衡はショックを受けますが、弁慶の助言によりひとまず難を乗り切ろうとします。それは玄久郎を遮那王牛若の身代わりとし元服し義経を名乗らせることでした。
 余り深く物事を考えない性格の玄久郎は、要は平氏を倒せばいいんだろうと気楽です。秀衡はそれに加えるように”黄金の国奥州”の金塊を源頼朝の元へ収め、源氏との結束固めをします。



 玄久郎は義経として、一ノ谷の合戦を皮切りに連戦し平家を猛追します。ですがその一方奥州では秀衡の妻で巫女でもある”黄泉津の方”は我が子次郎(玄久郎の弟)に夫を討たせ跡継ぎとして泰衡と名乗らせます。

 その父の死を玄久郎は戦場で助けた歌うたいの静歌の”歌の力”によって知ることとなります。冥界で亡霊となった秀衡は妻黄泉津の方に謀殺されたことを_。

 矢も楯もたまらず故郷へ戻る玄久郎。先祖代々のミイラの眠る聖なる洞にて母と弟次郎に真偽を問いただすのですが、割り込んできた弁慶により玄久郎は亡き者に・・・。
 実は弁慶等は源平の争いに奥華を加え、日本に広がる武士勢力を衰えさせ、再び朝廷の力を盛り上げようと画策する貴族の配下だったのです。壇ノ浦の合戦で平氏は滅亡し、その立役者であった義経・玄久郎を亡き者にした奥華一族という構図を作ったことで、今度は奥州へ源頼朝は進軍してきます
 
 そして一方、冥界で目覚めた玄久郎はそこで父泰衡、奥華の先祖達と対面します。そして手を掛けてしまった遮那王牛若とも。
そこでドタバタするのもつかの間、玄久郎は現世に呼び戻されます。それは死者を弔う静歌の歌声に導かれての現象でした。
 生者でも死者でも無い玄久郎の出現に周囲は驚きを隠せません。


 その現世では頼朝率いる圧倒的な軍勢に奥華は防戦一方になっていました。
 彼我の軍勢の差を前に玄久郎は冥界の扉を開け、父、奥華の先祖を現世に呼び出してしまいます。実体はあるものの死なない存在となった玄久郎達は頼朝軍を圧倒しますが、ほぼ同じく冥界から戻った遮那王牛若と手を組んだ秀衡等奥華の先祖達は、日本そのものを手中に収めようとする野望を露わにします。

 「奥州の地を守るのではなかったのですか?」

 秀衡を筆頭に冥界の者達のそのあまりの征服欲の激しさに玄久郎はうろたえます。とんでもないことをしてしまった、と_。
 魔人となった秀衡達に巫女の黄泉津の方は必死の抵抗をしますが抗いきれません。

秀衡を説得する玄久郎ですが、
 ”生きているのか死んでいるのか” 父の言葉に玄久郎は惑わされ、孤独の闇に閉じ込められてしまいます。

 人外の者と化した秀衡等の暴走を止めるため,静歌と次郎は歌います、玄久郎を再び呼び戻すために_。



 スゴイ!やっぱり新感線、て面白い。笑いあり涙ありの感動ものです。
特に本作は女性の活躍が際立っています。
ヒロイン静歌の健気さ、そして素晴らしい歌。
黄泉津の方は最初は悪女、ぽい様相だったのですが、ストーリーが進むにつれ、重責を担っているキャリアウーマンのようでした。
北条政子の"鉄せんべい喰い"には思わず笑っちゃうのですが、後半頼朝の側室お亀への叱咤激励は彼女への見方の変わるエピソードです。
 対する男達、頼朝の頼りなさ、秀衡、牛若の我欲丸出しの横暴さのコントラストのようです。

 物語ラスト、玄久郎は弟に大陸へ渡るように勧めます。そしてその土地の王になれと。
きっとそれは源義経=ジンギスカン伝説を匂わせている台詞なんでしょう・・・・

面白いです。

11月1日、T・JOY久留米にて2回目の鑑賞。

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